2015年05月28日
★よく「昔の人はえらかった」と言われます。
確かに、今ある便利さも美味しさも先人の知恵と苦労の上に成り立っています。
昔は「自分たちで工夫するしかない」「もっと便利にしたい」という状況だったのでしょう。
現代の私たちはその恩恵を当たり前に享受しがちです。工夫する力も弱まっています。
けれど、日常のひとつひとつに「これはどんな風にしてできだんだろう?」と興味をもち、調べてみたり実践してみると、日々の感動や
感謝の気持ちが増していきます。
それは、子育てする上でもとても大切なことです。
★簡単に人間の食生活の歴史を振り返ってみましょう。
(はたして私達が実践できることはあるでしょうか?)
採取・・・山の草や実、海の貝・海藻・魚などあるものを採る。
(おそらく毒も食べて犠牲を出しながら、食べられるものを子孫に伝えていったのでしょう。)
狩猟・・・野山の動物を捕まえて解体する。生食から火で加熱するように。
(大型動物の場合は命の危険を伴い、仲間と狩りのコツを進化させていったでしょう。)
農耕・・・主食となる穀物をより多く収穫が得られるように育てる。
(全て手作業で労力は大きくても、収穫量は今ほど多くはなかったでしょう。)
同時に採取・狩猟・調理に使う道具も生み出しながら、より確実に多種類のものを食べられるように工夫されました。時間のほとんどが衣食住(生きること)に費やされ、手間暇かけて作ること、共に分け合うこと、感謝して命をいただくことが当たり前でリアルに感じられた時代だったのではないでしょうか。
力の強いもの、食糧を多く得たものが力をもち、貧富の差ができていきます。
衣食住に不安のない者からは芸術や娯楽が生まれました。
より美味しく美しく食べるための食文化が発展し、外国からも新たな文化が伝わります。
電気がない、冷蔵庫がない、だからこそ、保存させる加工が考えだされました。
(塩漬け、砂糖漬け、乾燥、燻製、雪に埋める等)
発酵食品や郷土料理など地域ごとに食文化が創られていきました。
農業でも畜産でも科学で人間に都合よく命を増産する時代となりました。それとひきかえに農薬・抗生物質・食品添加物・化学調味料・放射能を避けがたい生活となりました。
★食育は昔の生活の中に自然と溶け込んでいました。生活そのものが食育でした。
だから「食育」という言葉は必要なかったのでしょう。
昔ながらの食育ベースの子育て・・・昔の当たり前が今では贅沢で貴重な体験となりつつあります。
まずは毎日を少しでも丁寧に暮らすことから。(具体的にはVol.2を参照)
なぜ、それが大切なのか。
実体験や文化を愛情と共に受け継ぐことで、生きる力・生きる喜び・感性・好奇心・想像力・感謝の気持ちを得ることができます。
得たものは自分なりの知恵と工夫に発展させることもできます。
環境を壊して便利に開発するだけの時代は見直されるようになってきました。
古き良き暮らし方に戻る人も増えています。
しかし、社会全体としては「忙しい暮らしと便利な生活」から脱することはまだまだ難しそうです。
進歩は悪いことばかりではありません。
残したい部分をうまく選びながら、あえて不便を選択する、あえて手間暇かける。
先人たちに恥ずかしくない子育て・生き方がきっと私たちにもできるはず!
将来、子孫から「昔の人はえらかった、便利な生活の中でも未来のことを考えて正しい選択をしてくれた。」と言ってもらえるように・・・